
NHK朝ドラ「あんぱん」第80話 あらすじと感想|7月18日放送分『6年ぶりの帰還と沈黙が紡ぐ物語』と題してお送りします。
2025年7月18日放送のNHK朝ドラ「あんぱん」第80話は、釜次(吉田鋼太郎)の葬儀を背景に、これまで描かれてきた登場人物たちの関係性と決意が、静かながらも深く心に響く回となりました。

今回の最大の見どころは、何と言っても6年ぶりに草吉(阿部サダヲ)ことヤムおじさんが朝田家に戻ってきたことですね!
長年のファンにとって、その存在感だけでぐっと心を揺さぶられる登場でした。
しかし、家族の「またあんぱんが食べたい」という願いに対し、ヤムおじさんは無言で首を横に振る――
このたった一つの仕草が、あんぱんを焼くことへの重圧や過去への悔い、そして「もうその火を扱えない」という諦念を雄弁に物語っていました。
パンを焼かなかったヤムおじさんの選択は、単なる頑なさや拒絶ではありません。
継げなかった者の哀しみや責任感、そして「語られなかった感情」そのものでした。

その沈黙が、逆に家族、特にのぶの心に深い「問い」を残し、彼女の新たな覚悟や成長への火種となったのではないでしょうか。
一方で、のぶ(今田美桜)は東海林から記者としての厳しい評価を受け、人生の大きな岐路に立たされます。
「記者に向いちょらん」と言われ動揺しながらも、次郎の手帳や過去の出会いを振り返り、自分自身と真摯に向き合った結果、「東京に行く」という大きな決断を家族に報告することになります。
東海林の厳しい言葉の裏には、のぶを前に進ませるために「あえて悪者になる」覚悟が感じられ、その愛情深い配慮が印象的でした。
この第80話を通して強く感じたのは、「喪失」の悲しみと「再出発」の希望が絶妙に重なり合う構成の巧みさです。
家族の別れ、新たな旅立ち、そしてパンを焼くことで繋がる”もう一つの家族”の温もり――それぞれの人物が自分の人生に真摯に向き合い、「面白がって生きえ」という週タイトル通りの前向きなメッセージが強く心に残りました。

ヤムおじさんが家族の前であんぱんを焼くことはなかった――けれど、その不在・沈黙が、受け継ぐ人の中に”火”を生んだ。
安易に美化されない「継承」の在り方、「引き継げなかったもの」「伝えられなかったもの」も含めて人生だと示してくれた回でした。
「おかえり ヤムさん!!」という気持ちが自然とこみ上げてくる第80話は、帰ってきたヤムおじさんの沈黙も含めて「おかえり」と言いたくなる、深く心に残る一話でした。
朝ドラ『あんぱん』第80話:希望と成長が交差する転換点 – ヤムさん帰還、のぶの決意、そして感動の「ほいたら根」
2025年7月18日金曜日に放送されたNHK朝ドラ「あんぱん」第80話は、多くの視聴者の心に深い感動と、今後の展開への大きな期待を抱かせました。
特に、大切な人々の「言葉」と「想い」が交錯し、主人公・のぶの新たな道が示される、まさに物語の転換点となる回でした。
1. 第80話のハイライト:別れと再会、そして心に残るシーン

引用:NHK『あんぱん』公式X(@asadora_nhk)|画像の著作権はNHKに帰属します。
カマジーとの別れ、そしてヤムさんの突然の帰還
物語は、カマジーの死という悲しい現実から幕を開けました。しかし、その喪失感の中で、視聴者が待ち望んでいたヤムさんがついに帰還を果たします。
ヤムさんの登場は、「ちょっとこう明るくなる」ような期待感を与え、その存在の大きさを改めて感じさせるものでした。
一方で、ヤムさんの帰還シーンでは、のぶを含め登場人物たちが「おわい久しぶり」といった反応を見せず、まるで「変な演出」だと感じた視聴者もいたようです。
しかし、これはもしかしたら「あえて」意図された演出であり、ヤムさんの自由な生き方を象徴しているのかもしれません。
アンパンが繋ぐ絆:カマジーの遺志とヤムさんの「楽しんで生きえ」
帰ってきたヤムさんは、亡きカマジーが作った窯で、温かいアンパンを焼き上げます。
そして、のぶとヤムさんがそのアンパンを食べるシーンは、「すごすぎましたね」と評されるほどの感動的な場面となりました。

二人はまるで幼少期に戻ったかのように「完全に子供の顔」になり、「無邪気さ」を感じさせる姿が描かれ、多くの視聴者を驚かせました。
このシーンでは、カマジーの口癖であった「ほいたら根」という言葉が、久しぶりに登場人物から発せられ、涙なしには見られない感動を与えました。
ヤムさんは、カマジーの「楽しんで生きえ」というメッセージを直接聞いたわけではないにもかかわらず、その言葉通りに生きているかのような姿を見せ、「泣けました」という声も上がっています。
これは、言葉を超えた大切なメッセージが、確かに人々の心に届いていることを示唆しています。
のぶと正司の対話:記者の道と自己発見
今回のエピソードで特に印象的だったのは、正司がのぶに「お前は記者に向いていないちょら」と厳しく言い放ったシーンです。
この言葉は一見、のぶを傷つけるように聞こえますが、実は正司の「本当に素敵な上司」としての本心が隠されていました。
正司自身も戦時中に「軍主義を煽る記事を書いてきた」という過去を持ち、自己との葛藤を抱えていた経験があるため、この厳しい言葉は、のぶが自らの目で自分自身を見極め、「誰かのために頑張るのは罪悪感からの罪滅ぼしではない」という答えを導き出すためのきっかけだったと考えられます。
のぶは当初、「恩返ししてない」「私はやる」と強く決意していたにもかかわらず、正司の言葉を「あっさり」受け入れたように見え、一部の視聴者からは疑問の声も上がりました。
しかし、これは「お前はダメなんだ」と突き放すことで、のぶを東京へ行かせ、新たな道へ進ませるための「方便」だったと推測されます。
結果として、のぶは東京行きの決心を固めました。
2. 物語が紡ぐ「希望と共感」のテーマ
絶望の隣に「希望」を見出す力
「あんぱん」の物語は、前半の戦時中における「絶望的な出来事」 から、7月以降は「明るい希望を感じる」展開が増えてきました。
作中では、「絶望の隣は希望」「全力で走れ絶望に追いつかれない速さで」 といった、キャラクターたちに寄り添う大切な人々の言葉がたびたび引用され、のぶだけでなく、「視聴者である僕たちも絶望への体制がついていく」ように感じられます。
登場人物たちの「前向きな精神」が視聴者の心にも伝播し、困難に立ち向かう勇気を与えてくれているのです。
「隣に座って一緒に泣ける」共感の力
「らんまん」がくれた希望と共感の出典が示唆するように、「正義とは誰かのために拳を振うことではなく、隣に座って一緒に泣けること」 というメッセージは、朝ドラ全体に共通するテーマと言えるでしょう。
のぶが読者からの手紙を読んで涙をこぼす姿 や、子供たちがパン屋の絵を見て嬉しそうに指を指す姿 は、まさに人々の心に「希望」が届いている証であり、彼女が「書くんだ」という理由を強くする瞬間でもありました。

のぶと高志が、それぞれ「絵と言葉で人の心に寄り添う」という新たな挑戦を始めることは、視聴者にとっても「ワクワクが止まらない」展開として受け止められています。
特に、高志が新しいキャラクター「パンマン」のアイデアをのぶに渡すシーンは、あの国民的キャラクター「アンパンマンの誕生につながる静かで確かな始まり」として描かれ、視聴者の期待を大きく膨らませました。
3. 今後の展開と視聴者の期待
第80話のラストでは、のぶが東京へ旅立つ朝、カーテンを開けると明るい朝日が差し込む印象的なシーンが描かれました。
これは「朝日イコール希望の演出」として、のぶの新たな始まりを予感させます。彼女にとって朝日は、子供たちに体操の面白さを伝えたいという「教師になりたい」という夢を思い出す光でもあります。
来週の予告では、のぶがすでに東京で手伝いをしている様子が示されており、またヤギさんの再登場も示唆されているため、今後の展開にも大きな期待が寄せられています。
「あんぱん」第80話は、カマジーの死という悲しみと、ヤムさんの帰還、そしてのぶの東京行きという希望が交差する、感動と成長が凝縮されたエピソードでした。
登場人物たちが紡ぐ言葉や行動が、私たち視聴者自身の人生にも深く共鳴し、困難に立ち向かう力と、隣に寄り添う温かさの大切さを教えてくれています。
今週も読んでいただきありがとうございました。